軽井沢ハウス物語-バックナンバーVOL_017
***************************

恋愛とエロティシズム・。・。作家:山口路子の「軽井沢ハウス物語」・。・。
・。・。・。イメージは・。・。・。 北フランスの田舎家・。・。・。・。

限られた予算でどこまでこだわれるのか。どこまでできるのか。
何を捨てて何を取るのか。

「お金をかけずに、優雅に暮らす!」ライフスタイルを目指す
山口路子の家づくり&インテリアマガジン。

***************************
軽井沢の片隅にたたずむ、一軒家。
北フランスの田舎家風の外観に魅せられて、あなたが訪ねていらっしゃいました。
ようこそ!

はじめまして。山口路子です。どうぞゆっくりなさっていってくださいね。

完成したばかりのこの家は、「軽井沢に合った家」
を目指してつくられました。
ポイントは2つ。
ひとつは、軽井沢の風土に適合していること。
もうひとつは、「美」的観点から軽井沢の風景に合っていること。

もちろん、さまざまなこだわりもありますから、
あなたが軽井沢とは縁のないところに住んでいたとしても、
家づくりやインテリアに興味があるなら、
きっと楽しんでいただけると思います。

どこまであなたの共感を得られるか、
卒倒しそうなほど不安ではありますが、
勇気を出して、さあ、さっそくご案内をしましょう。

まずは、明るいうちに家の外側をご覧になっていただきましょうか。
陽が落ちると、とたんに冷えますからね。
さあ、こちらです。

…といったかんじで、このマガジンは、あなたに私の家を
ご案内するかんじで進めてまいります。
だめよ、途中で帰るなんて言わないでね。
どうぞよろしく。
☆メールはこちらまで
muse@angel.ne.jp

☆山口路子の公式サイト「ギャラリーカフェ・ミューズ」はこちら
http://www.angel.ne.jp/~muse/


****************************** ***

::::::::::::::::::::::: ::::::::::::

第3章 ダイニング 。・。・。・。・。・。・。・。

:::::::::::::::::::::::::::::::::::

第17話「照明を見上げ続けて、三時間」


:::::::::::::::::::::::::::::::::::

★「照明」物語は続きます。
私は夫と丸山さんと、群馬県の「ジョイフル本田」のなかにある、アンティーク
ショップ、オールドフレンドに出かけたのでした。そして・・・。


************** *******************

ああ。
あのときの「オールドフレンド」。

決して広くはないあの店に、私たち、三時間くらいいたかしら。
しかも、照明の売り場って、当たり前だけど、天井から商品が下がってますよね?



ウォールライトはけっこう早く決まったのですが、リビングとダイニングのシャンデリアが
なかなか決まりません。

だんだん、焦ってきました。

だって、予算オーバーは許されないし、けっこうきつい予算だったし、妥協は絶対したくないし、
男二人(丸山さんと夫)は、だんだん飽きてきて、

「これ、いいよね?」

「うん、いい、いい」



なんて、最初は「いまいちだよなあ〜」なんて言っていた照明を急に褒め出したりして、
あぶない雰囲気に。

とはいえ、私も、体力がないことがわざわいして、へろへろに。
天井の照明を見上げ続けること三時間、くらくらするのも無理はありません。

思考能力が低下し、疲労で半笑いしながら、私は言っていました。

「これにしましょう〜か〜(へらへらっ)、けっこう、いいかも〜(へらへら)」

私の指の先には、ビックサイズの照明が。
それは、おそらく大きな丸太小屋なんかにつけたら、さぞかし映えるだろう、
と思われるアイアン製の重厚なものでした。

ページトップに戻る

冷静な今、私の頭の中には、その照明の下で、ハムを食べる父子の姿が浮かびます。
そして、父が言うのです。
「腕白でもいい、たくましく育って欲しい」
(これは私が娘に願うことのひとつです。なんて、関係ない話。失礼)

とにかく、そんな雰囲気の照明でした(そのときはわかっていない、へろへろで)。

「ね? これにしちゃおう? 意外と合うかもよ〜」

私は、へらへらっと丸山さんに言いました。

丸山さんは無言、夫を見ると「いいかもな」とうなずくので、

「き〜め〜た〜」

と、私は歌いました。

すると、丸山さんが言いました。

「やめましょう。決まらないものは買わないで、またなんとか考えましょうよ。
妥協してもいいことはない。山口さん、これ、おもいっきりヘンですよ。あの家に合わないですよ」

「そ、そうよね」

と、私はうなずきました。丸山さんの剣幕に押されて…。

そのときは、へらへらっ、で終わったのですが、あとから振り返ってみれば、
このときの丸山さんは神様のようだったわよ。

ふつうは「ええい、めんどうだ、なんとか決めさせよう」と思うものでは?

今はありがたくて、丸山さんを拝みたいくらいです。

だって、あんな「腕白な」照明を選ぼうとするなんて、自分でも自分が信じられません。

このような流れがあり、どうしても決まらなかったダイニングの照明を、野本氏にお願いした、
というわけです。そして、結果的に大満足の照明をつけることができたのです。


私はこの体験で一つの教訓を得ました。


家作りは、たいへんな作業です。
普段は「苦しい快楽」と表現している原稿書きのほうがよっぽど楽、と思えるくらいに、
精神と肉体のエネルギーを必要とします。

ですから、家作りの過程では、なんども
「ま、いっか」
とか
「こんなもんでしょ」
とか
「もう、いいや、限界だー」といった気持ちに負けそうになります。

けれど、ここで負けてはいけないのです。

疲れたら買い物は切り上げましょう。
そして休みましょう。
そして、さらに、疲れているときに、なにかを「決定」するのはやめましょう。

これって、家作りに限らないけれど、
つくづくそれを感じるのが家作りというもののようです。

☆次号予告
「ステンドグラスが教えてくれたこと」
お楽しみに!

************** *************************
ページトップに戻る
まぐまぐ